「人の良い所を見つけるようにしなさい。」
小学生くらいの頃に家族にふと言われた言葉を今日思い出した。
当時は嫌な人は何をどうしても嫌にしか見えなかったし、周囲こそ悪口とか人の嫌な所しか見てないじゃないか、としか思えなかった。
逆に「あの人と話が合うなんてあんた大丈夫?」と言われてしまうような経験もあった。
「昨日メールで送ったけど?」
ある件で上司に尋ねたらそう言われたのだ。
メールチェックはこまめにしているが、冷や汗をかいた瞬間だった。
しかし、迷惑メールフォルダも含め該当のメールは何処にも見当たらなかった。送信先は部署共通のメールアドレスだそうだが、誰も心当たりなし。どうやら送信忘れだったそうだ。
「探しましたが、ありません。」
暫くして声を発したのは、ある後輩だった。その後輩は消極的で、自ら動くタイプではなかった。「早くあの子を戦力に」と上から言われ戸惑う日々が続いている中、後輩の進歩を感じられた瞬間でもあった。
振り返ってみると、私は上に再送を頼もうと気が急いでお礼が丁寧に言えたかはわからない。こうやって私は自分のことですぐいっぱいになってしまいがちだ。それなのに後輩は頼まれなくてもメール探しを手伝ってくれた。周りに気を利かせることの難しさを知っているからこそ、嬉しかったことでもあった。
後輩は気遣いができる人だ。上司についても気難しい人だが、褒めるところはきちんと褒めてくれる。短所だけの人間はいないのは本当のことなのだろう。
先輩に後輩のことを話してみた。
「人は悪いところに目が行きやすいけど、そういう所も皆で気づいていけると社内は良い雰囲気であり続けられるだろうね。」と頷いていた。
ネットを見れば特定の何かに対してアンチや批判、炎上は珍しくない。誹謗中傷に追い詰められ耐えきれなくなる人も増え、社会問題となっている。人の悪いところばかり気にする悪い習慣が蔓延った結果なのだろうか。
「人の良い所を見つけるようにしなさい。」
この言葉はこの先ずっと受け継がれてほしい言葉である。
人の良いところを見つけられることが自分の長所の一つだと自信をもって言える人間をこれから目指してみようと思う。